久々のオフに映画を見ようと誘ってきたのは、ハイネルだった。
注文しておいたDVDが、届いたのだと言う。
少し前に流行っていたその映画は、俺も見たいと思っていたものだったし、ハイネルから俺を誘ってくれたのも嬉しくて、すぐに同意した俺にハイネルはホッとした表情を見せた。
リビングにある大画面テレビの正面のソファに腰を降ろす。
ローテーブルには既に、飲み物が用意されていた。
先に用意をしてから俺を誘ったらしい。
そのくせ、DVDはまだセットしていなかったようで、今頃デッキにディスクを入れている。
俺の元へと歩いて来たハイネルは、当然の顔をして俺の脚の間に腰を降ろした。
二人きりでテレビの前に座るときには、必ずこの体勢で。
これは長年の俺の教育の賜物で、一緒に暮らし始めて随分経った今となっては、ハイネルも羞恥心に頬を染めることはない。
自然に俺に背中を預けてくるハイネルを受け止めながら、柔らかく腕を回す。
ハイネルがリモコンのスタートボタンを押した。
ソファに深く沈みこんだ俺につられて、後ろに倒れこむような格好になったハイネルが、小さく呻く。
急に動くなと、俺を横目で睨みながら文句を言うハイネルに謝りつつ、その唇を啄ばんだ。
俺の腿を掴んでいるハイネルの指に、きゅっと力が篭る。
それが俺の肌をゾワリと震えさせた。
「ハイネル……」
もっと深くハイネルを味わおうとした俺の唇に、ハイネルの指が押し当てられる。
不満を露にした俺の視線をハイネルは軽く受け流して、強く言い放った
「今日は、映画を見るんだ」
「……ごめん」
素直に反省して見せた俺に、満足そうに微笑んで前を向いたハイネルを抱え直す。
もっと熱く激しくハイネルを感じたいのはやまやまだけれど、こうしてゆったりとした時間を過ごすのも悪くはない。
明日からはまた、忙しい日常が待っているから。
今日は一日のんびりしようなと囁いて、穏やかに微笑んだハイネルを少しだけ強く抱き締めた。
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